おのじ
大学卒業後、10年間公立の中学校で教員をしています。教員をしながら、コーチング、その他様々な学校外の教育コミュニティや場所に携わりながら働いています。

人との出会いから教育の世界へ

——これまでの経歴について教えていただけますか?

私は宮城県出身で、文教大学を卒業し、いまは公立の中学校で10年間教師をしています。大学時代から社会活動にも積極的に参加しており、答えのない学校と呼ばれる「Learning Creator's Lab」や、東京にある「ちきゅうのがっこう」などで活動したり、その他様々なコミュニティなどに参加し、学校と学校外での活動をしていく中で、さらに学びを深めながら、活動し続けてきました。その中での経験が、教育への情熱をさらに高めてくれています。

——教育分野に関わるきっかけがあったんですか?

出身大学は教員になる学生が多い大学でしたが、私自身は、海外に行ったり、イベントを企画したり、インターンシップに参加したり、いろんなことを体験したい、やってみたいといった気持ちで大学4年間を過ごしていました。

いくつかの活動をしていく中で、さまざまなご縁がありました。そのうちのひとつ「Teach For Japan , Learning For All」での様々な人との出会いから、教育への道に進むことを決めました。

そこから、10年間、公立の中学校で働きながら、多様な外部のコミュニティでの活動にも参加しながら、日々過ごしています。

コーチングとの出会いと学ぶきっかけ

——コーチングとの出会いについて教えていただけますか?

仕事をしていても、好きなことをしていても、良い関係性や結果などがあったとしても、どこか引っかかりを抱えていたんです。

自分が何を感じ、どうしたいのか。自分で自分のことをよく分かっていない感覚がありました。どれだけ行動しても、違和感が残る。そういう自分に気づいた時、驚きがありました。自分で自分のことは知っていると思っていたのですが、全く分かっていなかったんです。

そこから、コーチングサービスを見つけ、利用し始めるようになりました。コーチングセッションを継続して受けることで、仕事だけではなく、自分の生き方や過去、現在のことなどいろんな角度から自分自身を見つめ直す機会をいただきました。

——コーチングを学び始めたきっかけは何でしたか?

自分がコーチングを受けた経験から、この時間はどんな風に生まれ、どんなことが起きているのだろうと、自分でも知りたい、学んでみたい。そう思うようになったんです。また、自分自身も他者に対して、コーチのようなあり方で人の話が聞けるようになりたいと思うようになりました。

教員という職に就いている人は、生徒や保護者、地域の方の声をできる限り聞こうと活動をしています。ただ、教員自身の話を聞いてもらう機会は意外と少ないんです。私が働く職場や友人、周囲の人々に対しても、話を聞ける人でありたいなと思い、学び始めることにしました。

自己変容の風景:苦しみの受け入れと新たな視点へ

——これまでに経験したコーチングの学びの旅路を振り返ってみると、最も大きな変化や気づきは何だったと思いますか?

大きな変化は、2つあります。

1つ目は、自分自身の苦しさや見たくないもの、認めたくなかったものに対して、見るように、そして、受け止めるようになったことです。

これまでは、自分の悲しみや苦しみを見ないようにしていました。自分を鼓舞し、明るく前向きに元気に向かっていく力にしていたんです。見たくない部分を見ることは、自分を立ち止まらせてしまうことにつながるのではないか、自分の時間を止めてしまうのではないか。そんな怖さがあり、良い方ばかりを見ようとしていました。ただ、自分の中にあるものを否定して生きていくことは、辛いことなんだと気づいたんです。そこから、受け止めていく、ありのままを見ていく大切さを感じました。
コーチングを学び、自分自身の苦しみや悲しみを受け入れて立ち止まることができるようになった時、本当の意味で他者の話を聞いたり、受け止めることができる。それが自分ひとりでできると言い切ることはできませんが、できる限り続けていきたいと思っています。他者と向き合うことは、常に自分と向き合い続けることなのだと実感しています。

2つ目は、自分自身に対して、誤魔化したり嘘をついたりせず、誠実に生きていきたいと思いはじめたことです。これまでは、求められる役割にしばられ、「すべき」「しなければ」と思うこともありました。ただ、いまは自分が心の底からやりたいという思いを大切にしていきたいという気持ちが出てきています。

自己の変化が生む教育への新たなアプローチ

——コーチングによる変化や気づきは、仕事や実生活にどのような影響を与えましたか?

特にメンターコーチングのフィードバックの中で伝えてもらった「どうにかしようとすることじゃなくて、どうにかしようとしないこと」、つまり「待つ」ことの重要性に強く感銘を受けました。

日々、子どもたちと関わる中で、言葉の背景にあるものや子どもたちが本当に伝えようとしているものを聴くためには、「待つこと」が重要かを実感するようになりました。

以前は、「こういうことを言った方が良いのではないか」や「こういうことを言わないと…」など、自分の身体を通した言葉になっていなかったように思います。

コーチングの学びやセッションを重ねる中で、自分の言葉と感情が少しずつ一致してきたと感じています。

今まで一生懸命に子どもたちと向き合い、共にいろんなことを経験してきました。しかし、コーチングを学び始めてから、実は子どもたちの話を本当の意味で受け止めることができていなかった、子どもたちの声を真摯に聴けていなかったことに気づきました。

それは自分自身を見ること、自分の内側の声を聞くことができていなかったからこそだと気づいたんです。自分のできていないことを認め、受け入れる。そこから始めようと思い、今に至ります。

コーチングを学び、実践し続ける日々のなかで、少しずつ子どもたちとの関係も変わりつつあるのを感じます。まだまだ完全にできているとは言えませんが、これから先も、学び、実践し続けていきたいです。

コーチング体験と印象的なエピソード

——特に印象的だったことやエピソードはありますか?

一番印象に残っているのは、コースリードを担当してくれたおかちゃんの存在です。スキルやコーチングマインド、その考え方はとても大きな学びでした。それだけではなく、おかちゃん自身の存在感やあり方に大きな影響を受けました。

学びの場や時間が生成されていくのを感じました。そこから、どんな風にそのあり方や時間が作られていくのだろうと考え、コーチングの背景知識だけでなく、哲学や思想的な部分も学び始めるようになりました。

また、コースリードのこっちゃんにメンターとして指導してもらった時のことです。課題になっていた、自身のセッション動画を提出する時、全然できていない自分を見るのが情けなく、恥ずかしく、とても苦しかったんです。フィードバックをもらうこともとても緊張しましたが、「一番できていないコーチングセッションを選び、自分自身を偽らず、誤魔化さず、この場に持ってきたことが一番の学びだ」と言われたことがすごく印象的で、自分自身ができていないとを認めることから学びが始まるのだなと思いました。

そして、一緒に学んでいる仲間がいてくれたことも、とても大きかったです。私たちのインテグレーション・コースのクラスは12月から翌年の5月の期間で、年末年始や年度の切り替えのタイミングで、みんな忙しい時期だったのですが、、それでも、一緒に学ぶ仲間とともに、自分ができなかったことや理解できなかったことを共有することができたのは本当に良かったと思っています。

学び続け、実践し続けることの大切さ

——おのじさんがこれからやりたいことや目指す姿についてお聞かせいただけますか?

まずはコーチング自体をずっと続けていきたいと思っています。コーチングを受けることも、自分がコーチングを行うことも、私自身がずっと実践者であり続けたいです。

そして、コーチングのセッション以外でも本当のコーチングのマインドを体現し続けられる人でありたいと思っています。それが、自分がありたい姿ですね。

——おのじさんにとって、コーチングやコーチングマインドとはどのようなものでしょうか?

自分自身の感情や思考、それが良いものであれ、そうでないものであれ、理解し、信じることができるようになるものだと思います。自分自身に対して信じることができ、そして、他者に対しても同じように信じることができるのだと感じました。

——最後に本記事を読んでいただいた方にメッセージをお願いします。

学び続けることと、学んだことを実践し続けることが大切なのだと感じました。

また、できない自分を受け入れ葛藤しながら、継続することで何かが見えてくる。それが自分にとっても大切なことなのだと思いました。

コーチング以外でも、コーチングのあり方や考え方に魅力を感じていることを伝えたいですね。