みどりん
岡山県在住。作業療法士として生活期訪問リハビリに7年間従事し、約500組の家庭にアプローチを行う。地域で生活する高齢者や障害児の支援を行う中で、自分自身の在り方やコミュニケーションの重要性に気づきコーチングに出会う。人と直接関わるエッセンシャルワーカーの経験を通して、働く人が自分自身をまず大切にできる世界にしたいと願い、コーチとして活動を開始。

「自分を責める」を変えたかった

——まず、みどりんの経歴から伺えますか?

中高時代は、みんなと仲良くなりたいと思っていましたが、うまくいかない時期もありました。大学は、いとこの影響を受けて作業療法士としての道を考えて進学しました。大学ではダンスサークルやマラソンなど、新しいことを始める機会も増え、さまざまな経験を積みました。卒業後は、作業療法士として地域のお家を訪問してリハビリの仕事をしてきました。いまは休職中ですが、自分自身がどのような働き方を望んでいるのか、働く上で何が大切なのかを考えています。

——自分の働き方や価値観について見つめ直している期間なんですね。それでは、次にコーチングとの出会いについて教えていただけますか?

子どもの頃から、怒られることを避けながら生きてきました。いわゆる良い子ですね。ただ、仕事の中で怒られることを回避することってなかなか難しくて。利用者さんのお家を訪問した際、けっこう大きめのクレームを受けてしまったことがありました。当時、本当にいっぱいいっぱいだったこともあり、心が折れてしまいました。自分がダメな人間だとか、人間として終わってしまったと自分を責めてしまっていました。

ただ、このままでいてはいけないなとも思っていたんですよね。そんな時に、たまたまSNSでつながっていた方にコーチをしている方がいたんです。第三者に思いを聞いてもらいたいと思って連絡し、初めてコーチングセッションを受けることになりました。最初は自分に向き合うことがしんどくて、自分自身を嫌う気持ちもありました。ただ、話すことで少しずつ楽になり、自分の気持ちやその背後にあるものを理解し、もやもやが解消していきました。

——クライアントとして、印象的な体験をされたんですね。そこから学びたいと思われたのはどういった経緯があったのでしょうか?

いま思い返すと、コーチングの概念を知った時から、自分もコーチングを学びたいという気持ちは潜在的にあったと思います。自分の心や感情とうまく付き合いたいという願いがあり、自己成長を深めたかったんです。実際にコーチングを受けてみて、その時間がとても良いものだと感じたため、自分自身でもコーチングを広めたり、コーチングのスキルを身につけたいと考えるようになりました。

自分の願いをゆるせるようになった

——実際にTHE COACH Academyで学んでみて、どんな気づきや学びがありましたか?

THE COACH Academyで学んだ最も印象的なことは、感情には良し悪しはないということですね。コーチングを通じて、どんな感情が湧いてきても、その感情の背後にある願いや意図を俯瞰的に見ることができるようになりました。もともとは、自分にとって不都合だと感じる感情は見たくないと思っていましたし、こんな感情が湧いてくる自分のことなんて嫌いだと思っていました。でも、THE COACH Academyを受講する中で、湧いてくる感情に対して評価判断しないということを繰り返し伝えてもらい、コーチングの練習などで人の話を聞いたり聞いてもらったりの体験を重ねることで、自分の感情すべてをゆるせるようになりました。

——大きな変化があったんですね。ほかにも感じているご自身の変化はありますか?

そうですね。もともと、将来こうありたい・こんなことがしたい、というような未来に対して明るい方向の話を口に出すことに恐れを感じていたんです。言ったからにはやらないといけない感じがプレッシャーになってしまう感じがして。あとは、私なんかがでしゃばったらダメだ、みたいな恐れもありましたね。でも、少しずつですが、自分の願いを許せるようになってきました。自分の身体感覚も大切にし、感情を受け入れることができるようになりました。 

——その変化を後押ししたものは何でしょうか?

自分の抱える困難に対して、ひとりで立ち向かっているんじゃないんだと思えたことですね。THE COACH Academyで学ぶ同期それぞれ抱えているものがあったと思いますが、それを練習の中でお互いに見せあったり、承認し合ったりした過程に大きな意味がありました。自分の中から湧いてくる感情に対して、それで自分の価値を決めようとしていたところがありましたが、同期のみんなと話す中でそれ自体は悪くないんだと、どんな声でも出して良いんだよって繰り返し言ってくれたことが本当にありがたかったですね。

正直、これまで押さえつけていた小さな声に耳を傾けるようになったことで、今まで出くわさなかった葛藤が生まれたことも事実です。その感情を知らなかったら、気づいていないふりをしていたら…と思うこともあります。でも、やっぱり表れたがっている感情には願いがある。葛藤することもたくさんありますが、自分を受け入れることができるようになったのはうれしい変化ですね。

——気づきや考えの変化があったことで、仕事や実生活における変化や影響はありましたか?

冒頭でお伝えしたように、いま休職している状態なのですが、お休みをとるという選択をすることができたのは実生活における大きな変化ですね。お休みをとること=立ち止まることだと思うので、決断するのに迷いがなかったかというとそうではありません。ただ、コーチングという居場所と、自分と向き合う方法を知ることができたことで、立ち止まる勇気を得ることができたと思っています。

実際、立ち止まってみたことで、私にとって本当に大切にしたいものが何か気づくことができました。それは、まわりの人もそして自分自身も笑顔でいられる環境がすごく大事ということ。これから、自分も、まわりの人も健やかに働けるように貢献したいなと、今は思っていますね。

自分と、他者とのつながりを育む

——コーチングを学ぶことは、みどりんにとってどんな意味がありましたか?

本質的なものを学ぶことができたと思っています。私たちは関係性の中で生きています。そして、コーチングを学ぶことは、自分や他者との関係性を育む手法を学ぶこと。関係性の中で学び、成長し、そして良い関係を築くことが、私にとってとても大事なことだと感じますね。

——今後、コーチングをどのように活かしていきたいと考えていますか?

自分を理解するツールとして、今後も活用していきたいです。あとは、自分のペースでコーチとしてコーチングセッションを提供していきたいですね。いま、田舎の方に住んでいるのですが、まだまだコーチングについて知らない人が多い状態です。その人達をはじめ、必要な人たちに届くように、少しずつでも広げていきたいなと思っています。

——ちなみに、どんな人にコーチング学習をおすすめしたいと思いますか?

THE COACH Academyは、自分の感情を丁寧に見つめ、自己受容を促してくれる場だったなと感じています。そのため、自分のことを大切に思えない人や、本当は自分のことを好きになりたい、大事にしたいと思っている人に受けてほしいですね。コーチングのスキルを学べることはもちろん、自分と向き合うこととか、自分の感情を大切にすることをさまざま角度から学ぶことができるので。安心安全な場で、仲間と一緒に自分と向き合える場だと思います。そういったものを求めている人におすすめしたいです。

——ありがとうございます。最後に、みどりんにとってコーチングとは何でしょう?

つながりを育む時間、だと思います。自分自身とのつながりもそうだし、他者とのつながりもそう。自分と向き合うことや自分がやりたいと思うことをやっていくために行動をすることとかも、つながりという土台があるからだと感じます。大半の人は、ひとりでは生きていけないと思います。支えてくれる人の存在、良い関係性の上で、新たな一歩を出せるようになっていくと思います。

コーチングは、すでにあるまわりの人との関係性や自分自身とのつながりが、自分にとってのリソースであると気づかせてくれる。だからこそ、つながりを育む時間であると感じますね。