いずみん
キャリア教育/コーディネーター
石川県金沢市出身。心理・教育の分野を学ぶべく大学に進学、「自己肯定感」という言葉に出会ったことで大学院に進み研究する。その後大学職員の経験を経て、現在はキャリア教育関連のNPO法人で、大学生の挑戦に伴走し成長をサポートしている。学生の1on1を始め、実践型インターンシップのコーディネートや大学授業などをおこなっている。

新たな道を切り拓く旅のはじまり

——まず、いずみんの経歴について教えていただけますか?

大学進学とともに、関西に出てきています。心理学や教育に関心を持っていたので、それらを学べる学部を選びました。ゼミの中で、当時はまだ浸透していなかった「自己肯定感」という言葉に出会い、その言葉と青年期の子ども達に対する関心が強くなりました。もっともっと学んでいきたいと思い、大学院に進みましたが、そこでの学びも全然時間が足りないくらい、学べば学ぶほどその深さにはまっていきましたね。

大学院卒業後は、就職したいと考えていたので、自分の学びや興味が活かせる仕事を探しました。そんな時、研究室の先輩から、大学の職員として働くことを提案され、学生課で働くようになりました。学生たちとの距離も近く、サポートできていることにやりがいを感じていました。

ただ、その後に不本意な人事異動がおこなわれ、やりがいが感じられなくなり、自分の「ありたい姿」がわからなくなっていきました。最初はなんとかがんばっていたのですが、次第に無理がたたって、適応障害になってしまったんです。そこで立ち止まり、改めて自分自身を見つめ直しました。その時に、私はひとりひとりの顔がみえる状態で個人に寄り添いたいんだなと思ったんです。そこから、働く環境を変えようとおもい、転職活動を開始。いまは、キャリア教育関連のNPO法人の中で、挑戦や学びの場をつくるコーディネーターとして、大学生たちが自分のキャリアを考え、進むためのサポートを提供しています。

——ありがとうございます。そんないずみんの経歴の中で、コーチングとの出会いはどんなものだったのでしょう?

コーチングの概念自体は、大学の中で出会っていました。ただ、その時は深く関わったりはしておらず、いまの仕事を始めてから改めて関心をもちました。私と同じようにコーディネーターをしている人たちから話を聞いて、対人支援の仕事をする上でコーチング的な関わりを学び磨きたいと思うようになったんです。

そこから、いろいろと調べるうちに、コーチングというものを自分の強みのひとつにしたいと感じるようになりました。たまたまTHE COACH Academyを卒業した知人がいて、その存在を教えてもらい、説明会にも参加。説明がとてもわかりやすく納得感を覚えたのに加え、場の雰囲気に安心感も抱くことができ、受講することに決めました。やるからにはプロとして活動することも見据え学びきろうと考え、インテグレーション・コースまで一括で申し込みました。

ゆっくりと、でも確実に起きた自己の変容

——実際、THE COACH Academyを受講してみて、いかがでしたか?

基礎コースから印象的な学び・気づきばかりでした。その中でもやっぱりインテグレーション・コースでの体験が最も衝撃的でしたね。基礎コース・応用ABコースでもたくさん実践の時間がありましたが、インテグレーション・コースは約5ヶ月間のコースになるので、実践量がそれまでとまた全然ちがいました。応用Bまでで得たものが、インテグレーション・コースの中で、やっと身体に染み込んできたというか、頭の中(知識)と体感覚の両方で整理されていった感じがありました。自己認識や気づきが特に大きく、自分自身への衝撃もありました。

もともと持っていた自身の内面の一部に、久しぶりに触れることができたような感覚がありました。脱皮した!生まれ変わった!というような感覚ではないのですが、以前から存在していた柔らかい部分に再びアクセスできた感じです。自分の感じることや思うことに対して、もやもや感やワクワク感が強まり、感度が高まったような状態になりました。

コース中、葛藤することの方が多かったですが、それもふまえて、嬉しさとか豊かさをじんわりと感じられるようになりましたね。

——ゆったりとした変容を感じますね。それは何が後押しとなったのでしょうか?

ひとつは、一緒に学ぶ仲間の存在です。講義やそれ以外の時間での交流や各々感じていることや気持ちの共有、課題のやり取りなどが積み重なっていったように思います。

もうひとつは、リードの存在です。すごく印象的だった出来事があって、インテグレーション・コースの中盤に実施されるリードとの1対1の面談で、自分の中にうまれたドロドロとしたものの存在について話したことがありました。その面談の後に改めてリードが「I Message(わたしはこう思うよ)」の言葉をくれて、それにすごく救われる思いがしたんです。言葉自体も心に響くものでしたが、それ以上にリードの方が、定められた業務とは関係のないところで、いち受講生である私に心を配ってくれたこと、それがすごく嬉しかったですね。

そのおかげで自分のドロドロと向き合う勇気がうまれ、その後も似たような構図でドロドロがうまれる出来事があったのですが、リードの言葉を思い出して、乗り越えることができました。いまここで立ち向かうべきだと頭ではわかっているけど、実際行動にはうつせない…というのがよく起こっていましたが、同期やリードの存在を感じることで変化していくことができたように思います。

——大きな試練を乗り越えた感じがしますね。

そうですね。正直まだ、こわいと感じている部分もあります。自分が大切だと思う人ほど、向き合うことに怖さがうまれます。ただ、乗り越えた経験があることで勇気につながっているのは確かです。大切な人との関わりの中で、自分の想いを閉ざさず、コミュニケーションを諦めない、ねばってみようと思えるようになりました。インテグレーション・コースでの経験がいまの私のパワーにつながっていますね。

豊かさを感じながら、わたしらしく歩みはじめる

——コーチングで学んだことが仕事や実生活の中で活きていると感じることはありますか?

学生との面談の質は、向上したように感じます。学生に対する自分のあり方が変わったと思いますね。投げかける問いの質も変わりました。コーチング的な関わりを通すと、学生の反応がこんなにも変わるものなんだと、その変化に驚くこともしばしばありますね。

また、仕事全般への向き合い方も変わったと思います。自分が求める働き方がさらにクリアになったり、仕事に対してもっと意欲的になったりと、より充実感を覚えながら仕事をするようになりました。もともと、豊かにいろんなものを感じられる、自分らしくいられることを大事にしたいなと思いながら、社会に出てから、いつの間にかその感覚を鈍らせてしまっていたように思います。そんな願いを思い出したような感じですね。

——いずみんさんは、コーチングを今後どのように活かしていきたいと考えていますか?

そうですね、もともと自分の強みのひとつにしたいと思っていたので、CACP取得は目指していきたいと考えています。ゆくゆくはコーチングがもうひとつの仕事の柱になるぐらいにしたいですね。それが実現できた時、もっと自分に自信がもてると思うので。これが私のコーチングスタイルだって胸をはって言える状態になっていきたいですね。

——ステキな目標ですね。では、いずみんさんにとってコーチングとは何でしょう?

自分と向き合う時間だと思います。ひとつひとつのセッションは点であっても、続けることで線になり、面になっていく。それを重ねていくことで、さまざまなものを豊かに感じられるようになり、自分らしく生き生きと毎日を過ごすことができるようになる。私はそう感じています。

コーチングやTHE COACH Academyに少しでも興味がわいている人は、とりあえず飛び込んでみたら良いと思います。頭でわかるというではなく身体全体で気づくって、こういうことか!ってわかると思うので。考えすぎず、身体の感覚に身を委ねてみてほしいなと思いますね。