シオケン
1987年群馬県生まれ。大学卒業後、気象・防災機器メーカーの営業として就職。27歳で結婚。その後発達障害(ADHD)と診断され、そのことがきっかけとなり離婚を経験。どん底の時期を経てコーチングと出会い、今までの失敗や自己肯定感が低い自分を見つめ直すきっかけとなった。現在は、会社員として働く傍ら、自身の特性や失敗から学んだ経験を活かし、その人本来の力を引き出すコーチングを実践している。

コーチングとの出会いは「サポートしたい気持ち」

——これまでのご経歴ついて教えてください。

もともと学校の先生になりたいという夢を持っていたのですが、受験に失敗し教育学部に入ることは叶いませんでした。しかし諦めきれず、教員免許がとれる工学系の系大学に入学しました。入学後、卒業単位の他に教員の免許取得に必要な単位も取得しようと試みましたが、結局卒業するだけで精一杯になってしまい、教員免許を取得できないまま卒業することになってしまいました。卒業後は、地元に戻りたかったため、地元である群馬の気象・防災機器メーカーに応募しました。ただ、実際は営業配属だったため、東京勤務だったんですけどね。そのまま10年ほどは東京で勤務していましたが、異動のためいまは群馬に戻り、妻といっしょに暮らしています。

——コーチングとはどのような経緯で出会ったんですか?

実は、いまの妻は再婚相手なんです。最初の結婚相手とうまくいかなかったのは、私自身のADHDが深く影響していました。離婚後、そんな自分を見つめ直したり、いまの妻との関わりの中でコーチングと出会ったんです。

最初のきっかけは、私が今の妻と付き合っていた時妻、彼女がちょうど仕事に悩んでいて、彼女の様子を見ている中で、サポートになることがしたいと思うようになったことです。いろいろと情報収集する中でコーチングを知り、自分がセッションを受けてみたところ、その深みにハマっていきました。

——コーチングを受ける側だったところから、学びたいと思うようになったのはどうしてですか?

セッションを受ける中で、コーチングや教育はひとをサポートしつつ、一緒に成長できるという共通点があると思いました。もともと教員になりたいと思うくらい、人を支援すること、物事を教えることが好きだったので、コーチングにその結びつきを感じました。マイコーチとのセッションの中で、自分も「コーチとしてコーチングをやってみたい」と口に出したところ、「いま、ぼく相手にやってみませんか」と提案をもらったんです。見様見真似でしたが、問いに対する相手の反応を見るのが楽しく感じました。それが、コーチングに対する好奇心を湧かせる大きなきっかけとなりました。

進化したパートナーシップと取り戻した自信

——実際に、THE COACH Academyでコーチングを学んでみてどうでしたか?

驚きや感動がありました。授業の中で印象的だったのは、数枚の写真を見せられて、その写真からどんな感情が浮かぶのかを考える授業です。同じ写真を見ていても、人によってそこから感じる感情は異なること、いろんな動きがあることを感じられてとても面白かったです。

また、授業の中ではないのですが、授業が終わった後に皆で集まって話し合う時間も非常に印象的でした。この歳になって、利害関係なしにフラットな関係性で交流ができることは貴重だと感じています。

——ひとりではなく一緒に学ぶ仲間がいたからこそ得た気づきですね。コーチングを学んでみて、シオケンさんの中で起きた変化などはありますか?

はい、大きな変化がありました。印象的なエピソードでいうと、妻が仕事を辞めたいという話をしていた時、心から応援できなかった自分がいたんです。それは、彼女のことを思って、彼女が本当に仕事を辞めてしまっていいのかと心配する気持ちからくるものだと思っていました。ただ、その感情を深ぼってみると、実は、自分の立場がおびやかされてしまうんじゃないかという恐れだったんです。再婚前の妻との関係性が変わってしまったきっかけが、結婚を機に仕事をやめた時からだったこととリンクしていたんです。その事に気がついてから、自分の恐れの感情と真正面から対峙することができ、今では彼女の選択を全て受け止め、何でも応援する気持ちになりました。その変化は、自分自身にとってとても大きいものでした。

——パートナーとの関係性にも大きな影響を及ぼしたんですね。そのほかに、起きた変化はありますか?

仕事上の変化もありますね。以前は、自分がADHDであることや失敗への恐れから、自分は仕事を上手く回せないというイメージがあり、自信を失っていました。しかし、コーチングを受けたことで、失敗を学びの機会であると捉えるようになり、自信をなくすだけで終わらせることなく、どんどん挑戦する気持ちが湧いてきました。具体的には、会社の中の改善活動で、自分から進んで取り組むようになったり、それを社内で発表するまでのプロセスを楽しむようになりました。

以前は、自分の中のネガティブな感情や失敗にフォーカスして、他人にどう思われているかを気にしていました。でも、今は自分自身と向き合い、なぜ失敗したのか、どのような気持ちで行動していたのかを冷静に考えることができるようになったんです。見たくない自分の

部分や問題に対峙し、それをただ「嫌だ」と感じるだけでなく、冷静に分析し、理解するようになったことが大きな変化ですね。

コーチングを学ぶことは、“自分”と対話すること

——シオケンさんにとって、コーチングを学ぶこと自体はどんな意味がありましたか?

自分の行動の原動力や感情の背景を見つめることができるようになったことですね。コーチングを通じて、私は自分が直感的に動いているもののバックグラウンドや感情の源を理解できるようになりました。それが、何かの行動をする時の意味付けにつながっています。以前は何となく行動していたことが、今は意味を持って行動できるようになりました。

コーチングを学ぶ前はそうした意識や共感の言葉に気づくことができていなかったと思います。しかし、コーチングの学びを通じて、それに気づき、自分自身をより深く理解できるようになったと感じています。

——今後、コーチングをどういう風に活かしていきたいと考えていますか?

自分の周りにいる人たちにコーチングの良さを伝えたいです。自立した行動を起こせる人になっていってほしいという願いもあります。

社内では特に自分よりも若い世代の人たちにもっとエネルギッシュに動いてもらいたいと考えており、そのための環境づくりをしていきたいです。副業としてコーチングを始めることや、社内でコーチングの文化を築くことも考えています。まだその具体的なステップには進めていないのですが、これから少しずつ進めていきたいと考えています。

——THE COACH Academyでのコーチング学習を、どんな人にオススメしたいと思いますか?

これまで物事が上手く行かなかった人や、自分をより深く知りたいと思っている人には非常に有益だと感じています。自分の存在意義や自分とは何かということを考えたい方には特にお勧めです。自分がやりたいと思う行動に一歩を踏み出せない人も、コーチングを学ぶことで自分自身との対話ができるようになるでしょう。何かを「できない」と感じることは悪いことではありません。しかし、自分としっかりと向き合い、対話できることの大切さを実感してほしいと思っています。

——最後に、シオケンさんにとってコーチングとは?

コーチングは、たしかに他者へのサポートや提供するものとしての価値があります。ただ、それ以上に「自分自身との対話」ができることが大きな価値だと感じています。クライアントとコーチングをする際も、その背景には自分との対話があります。この自分との対話があったからこそ、私自身の内面や現実世界での変化が起きたと実感しています。