ばる
IT企業会社員×母親×パーソナルコーチ。幼少期から思春期まで、希薄な人間関係の中で生きたことで、「自分には価値がない」というマインドのまま大人になる。仕事と育児の両立で悩んだことからコーチングと出会い、自己否定ループからようやく抜け出す。コーチングの持つ可能性を信じ、現在はプロコーチとして活動。本年10月より、社会起業家特化型コーチングサービスのSocial Coachingにも参加。

自分が変わることを諦めたくなかった

——まず、ばるさんの経歴を教えていただけますか?

新卒入社した会社がいわゆるブラック企業で、家と会社の往復の日々で生きる意味を見失っていました。数人の信頼できる同僚たちの存在が支えとなり、何とか踏ん張り続けていましたが、不妊が2年つづいたこともあり、退職しました。その後はパートとして別の会社で働くようになり、初めは快適で、無事出産し産休育休も取得できましたが、人の入れ替わりとともに人間関係が悪化してきて。辞めようか迷っていたタイミングで業績悪化によるパート切りにあいました。正直、ショックはありましたが、すぐに気持ちを切り替えて職探しをおこない、現職へパートとして採用されました。最初パートとして勤務していましたが、途中で社員化のお話をいただき、キャリアアップに興味があったため承諾して現在は時短の正社員として働いています。

——ありがとうございます。コーチングとの出会いについても伺えますか?

実は子どもの頃から20代くらいまで、自分自身のことが嫌いでした。それでも結婚できたし、夫がいてくれるなら、他の人と深い仲になれなくてもいい、自分のことも嫌いなままでいい、と思っていました。ただ、子どもが生まれて、一緒に生活を共にするようになってから、私が変わらなければ子どもも私と同じように人付き合いの苦手な自分のことを好きになれない人になってしまうのではという不安が生まれたんです。

それから、ベンチャーで勤めるようになって、仕事もがんばりたいけど育児もないがしろにしたくない、という悩みを持つようになりました。私に対して先入観のない、第三者に話を聞いてほしいなと思いました。いろいろ調べる中でコーチングという概念と出会い、いまのマイコーチにも出会ったんです。実際にセッションを受けてみると、自分の考え方や視点がどんどん変わっていくのを感じました。それから、自分がコーチングを受けて変わったことの実感を通して、同じように他の人たちにもその魅力を伝えたいと考えるようになりました。

——自身でコーチングのパワフルさを体感したからこそ、自分もだれかに提供できるようになりたいと考えるようになったんですね。

そうですね。もともとコーチングという言葉自体は、育児関連の本で見かけたことはありましたが、最初の頃はコーチと聞くと「指導者」や「メンター」に近い印象を持っていました。コーチングセッションを重ねることで、新しい視点に気づき、捉え方が変わるプロセスを経験できたので、持っていたイメージもアップデートされていきました。

安心できる場が、挑戦を後押ししてくれた

——実際にTHE COACH Academyを受講してみての気づきや印象的だった学びはありますか?

自分のあり方が周囲に影響を与える、という気づきですね。 不都合な現実を変えたければ自分から変わっていくのが一番早いのだと身をもって学ぶことができました。あたり前と言えばそうなのですが、人を変えることはできない、ということを心の底から実感できた気がします。

対人関係の悩みをセッション中に話していくうちに、相手に寄り添い、心を開くこと、そしてポジティブな感情を持つことの大切さを学びました。愛をもって接することや、常にポジティブな言葉をかけ続けることの重要性を身を持って実感できたと思います。

——頭でわかることと、身体感覚を伴ってわかることの差は大きいですよね。

本当にそうだと思います。あと、印象的だった気づきとしては、グラデーションの大切さですね。もともと白黒思考が強くて、どんなことでもはっきりさせないと気持ち悪かったんですが、わからないものへの耐性がついたと思います。もやもやを持ち続けられるキャパシティがふえた感じですね。不確定要素の多い中にいるのがいやだったんですけど、何かあったらその時なんとかしたらいいや〜と考えられるようになったのは、自分のなかでも大きな変化でした。

また、それと同時に冷静でいられる時間が増え、長年手放せなくて悩んできた「瞬発的な怒りの感情」も手放せるようになってきていると感じます。育児をするにあたっても、親の関わり方が子の性格へ影響を与えると考えていたので、自分の気の短さをどうにか早く手放したいと願ってきました。なので、怒りを手放すことは私にとって育児の質を上げることにも繋がり、心が健やかな日常へ近づけたと思いますね。

——大きな変化があったんですね。その変化を後押ししたものは何でしょうか?

まず、THE COACH Academyの中で、仲間がいたことですね。家でも会社でもないサードプレイス的なものだと思ってます。安心できる場所があることで、思い切ってチャレンジできました。どんな私を見せても「大丈夫だよ〜」と言ってくれる仲間がいたのは、すごく嬉しかったし心強かったです。

あとは、カリキュラムの中で、自分と向き合う時間がたくさんあったことですね。特にインテグレーション・コースの中では、ガチコーチングやグループメンターコーチングなど、自分のセッションに対するフィードバックを受ける機会もたくさんありました。受け入れるのに時間がかかるフィードバックもありましたが、安心安全な場でのフィードバックだったので、自分のペースで対峙していくことができました。

コーチとクライアントの行き来がより深く自分と向き合わせてくれた

——コーチングを学ぶことは、ばるさんにとってどんな意味がありましたか?

自分の人生を取り戻すことに繋がっていきました。コーチングの学びは、実践が伴うものなので、ただクライアントとしてセッションを受け続けるよりも、学びながら受けることで、コーチからの問いに対し自分の内面で何が起きているか敏感にキャッチしやすくなりました。あと、知識に基づいてもキャッチしやすくなると感じました。コーチングを学んだことで、より深く自分とむきあうことができるようになりましたね。

また、メタ認知能力があがったとも思います。心に余裕がないと不本意な行動に出やすくなるということを、知識や実践を通して理解することができ、先に休みをとることができるようになってきました。自分自身のことを観察して、メタ的に捉えられるようになったことで、以前より、バランスがとれるようになったと思いますね。

——今後、コーチングをどう活かしていきたいですか?

コーチとしてのあり方の追求をもっともっとしていきたいです。それと同時に、自分の生活の中にももっとコーチングマインドを取り入れていきたいです。コーチングマインドを宿したあり方をもっと体現していけるように、自分と向き合っていきたいですね。

——どんな人にコーチング学習をおすすめしたいですか?

がんばりすぎる傾向のある人にはコーチングをおすすめしたいです。コーチングを通してさまざまな変化を経験すると、更にパワフルになると思います。私自身も、過去に自分を頑張りすぎていたと思い返すことがあります。まずは自分を満たすことをゆるしてあげる。そうするとまわりの人のことも大事にする余裕がうまれてくると思うので、好循環がまわっていくと思いますね。

——ありがとうございます。最後にばるさんにとって、コーチングとは?

ひとことでまとめると、「精神修行」ですね。私自身が経験する中で、コーチングは自分の見たくないところを直視し、向き合うことの連続でした。しかし、そうした過程を経て得られる成長の喜びや達成感は計り知れないものがあります。

実際、コーチングを実践する中で、しんどいと感じる瞬間は多いです。ただ、それを乗り越えたときの喜びや達成感は格別で、それが心を震わせるほどの大きな喜びに繋がると思います。