県立特別支援学校教諭。知的障害がある子どもたちが通う特別支援学校で幼稚部、小学部、小学校の言語障害通級指導教室を経験。現在教員8年目。自身の豊かさに向き合う中で、コーチングと出会う。
自分の本当の思いが見えなくなっていた
——最初に、ぽんさんのこれまでのご経歴やパーソナリティについて教えていただけますか?
現在、県立の特別支援学校の教員として8年目を迎えています。こちらでは、知的障害のある子どもたちと関わっています。具体的には、自閉的傾向のある子やダウン症の子、発語がない子、肢体不自由がある子など、さまざまな子どもたちが通っています。これまで幼稚部や小学部、小学校で言語障害通級指導教室などを担当してきました。
職場と家の往復ばかりの日常だったので、何か変化を取り入れたいと考え、2022年に旅好きが集まるオンラインコミュニティに参加したんです。そこで初めて「コーチング」という言葉に出会いました。
——コーチングに対する最初の印象を教えていただけますか?
最初の印象は、「あ、こんなものがあるんだ」という程度でした。しかし、コーチングを提供しているメンバーがいたり、時折話題にでたりしていたので、徐々に身近な存在として認識するようになりました。
——どのように変化していったんですか?
最初にコーチングセッションを受けた時、コーチの方が非常に興味を持って話を聞いてくれる姿に感銘を受けました。楽しそうに話を聴いてくれる姿も印象的で、それが私にとって魅力的に映りました。また、今まで相手の心情を察して相手に応じた行動をしてきたことで自分のことがよくわからない状態だったので、コミュニティ内の活動やセルフコーチングを学ぶプログラムでの経験を通じて、自己理解を深める過程を経験しました。
コーチングへの興味の芽生え
——ぽんさんが自己理解から一歩進んで、コーチとしての役割や学びに興味を持ったきっかけは何でしたか?
自分自身を深く知る過程で、私は話を聴くことが好きだと気づきました。聴くことを強みにしたいと思うようになり、コーチングを学ぶことを決意しました。
——自分の強みを活かして、他人に貢献したいという思いが強く感じられます。その思いを持った背景には、何か特別な経験や出来事があったのでしょうか?
コミュニティに参加したことですね。さまざまなバックグラウンドをもつメンバーと出会う中で、「自分」に留まらず、周囲に多くのギフトを渡してくれるメンバーの存在に感銘を受けました。私も彼らのように、自分の強みから自然と、誰かにお裾分けできる人でありたいと思うようになりました。
——そのような気づきを持った後、具体的にコーチングを学ぶためにどのようなアプローチを取りましたか?
コミュニティのメンバーがオンラインで「コーチングスクール紹介イベント」を企画し、そこでコーチングスクールの情報を共有していました。私もそのイベントに参加し、いくつかのスクールの情報を知る中で、THE COACH Academyというスクールを知ることができました。
癒されている自分に気づいた
——THE COACH Academyの受講を通して、具体的にどのような変化や気づきがありましたか?
最初は周囲の人のために学びたいと思っていましたが、受講を進める中で自分自身がとても癒されていることに気づきました。特にインテグレーション・コースでは、実践の場が多いこともあり、クライアント役で自分の中に溜まっていたもやもやや感情を外に出すことが増え、自分自身が癒されて体がとても軽くなっていることを実感しました。そして、自分の存在意義に気づき、幸せを実感することができました。
——ぽんさんが感じた「幸せ」とはどんなものだったのでしょうか?
とても些細なことで、たとえば仕事を終えて家に帰っただけで安心して幸せを感じます。以前は仕事後にテレビを見てそのまま寝落ちすることが多く、後悔することもありました。しかし、今はその時間をセッションの時間として使い、誰かと深い会話をすることができるようになりました。その時間がとても豊かで、それが私の「幸せ」につながっていると感じています。
もちろん、話せる友達はいましたが、私は自分のことを一人で解決しようとする性格で、他人に頼ることが少なかったんです。仕事の中では、相手の心情を察知して行動することが多く、自分の感情や思いを出すことが少なかったです。しかし、コミュニティに参加したり、コーチングセッションをするようになってからは、自分の感情や思いを出すことが増え、大きな変化を感じています。
——ほかにも何か変化したと感じることはありますか?
そうですね、私は5人兄弟の真ん中生まれなのですが、障害をもつ兄や双子の弟の間ということもあり、両親に迷惑を掛けないようにしようと、聞き分けが良くて手が掛からないいい子を自然と演じていました。大学生になった時にひとり暮らしを始めたんですが、その時期が私にとって一番自分らしく過ごせた時期だったと感じていて。
それから、社会人になってまた周囲に気を遣うあまり自分らしさを見失うことになるわけですが、コーチングと出会ったことで、学生時代の自分らしさを取り戻していくことができた感覚がありますね。
職場へのコーチングの導入とその影響
——現在、職場にもコーチングを導入されたと伺いました。
教員としての仕事において、多くのもやもやを感じていましたが、コーチングを学ぶことで、自分自身が行動を起こすようになりました。管理職の許可を得て、身近な同僚にコーチングのセッションを提供しています。
——なぜ、職場でコーチングを導入したいと思ったのですか?
教員としての日常は、多くのタスクに追われ、自分の思いや感情を後回しにしていました。しかし、先生たちが「しなければ」から脱却してもっと心に余裕を持ち、フラットな自分で、自分の大切なものを大事にできるようになれば、子どもたちは安心感を得られ、大人の顔色をうかがって判断しない子どもたちが増えて、もっと自己選択ができると考えました。そのため、まず先生たちにコーチングを取り入れることで、先生たちが子どもたちとより良い信頼関係を築くことができると感じました。
——コーチングを導入してから、具体的な変化や反応はありましたか?
まだ試行錯誤の段階ですが、最初に提供した同僚から「評価されないことが楽だ」というフィードバックを受けました。職場の会話は、仕事の内容が中心で、人と人との対話の場が少なかったことに気づきました。私自身も、このような時間を持つことができて、心が豊かになったと感じています。
コーチングは、「幸せになるツール」
——ぽんさんにとって、コーチングとはどのようなものですか?
コーチングは「幸せになるツール」と捉えています。それは、自分を知ること、他者とのつながりを深めること、そして自分を大切にすることができるからです。私にとって、豊かさには「つながり」「余白」「自己選択」が必要だと考えています。コーチングは、これらの要素を実現するためのツールとして位置づけています。
——それは非常に興味深いですね。また、コーチングを学ぶ中でのエピソードや体験はありますか?
はい、実際に「未完了の完了」というワークを通じて、自分の家族との関係を見直す機会がありました。家族との関係には、私の大きなシャドウが関連していました。このワークを通じてコーチから提案を受け、母の誕生日にサプライズを企画しました。その結果、母との関係が深まり、自分自身も多くの気づきを得ることができました。
——それは素晴らしい経験ですね。最後に、コーチングを学ぶことを検討している方へのメッセージはありますか?
自分を深く知り、誰かにお裾分けできることがあることは、人生を豊かにする要素だと思います。コーチングを学ぶことで、より豊かな時間を過ごすことができると信じています。
コメントする